トムソン・ロイター 主催イベント

広がるアンチマネーロンダリングとテロ資金対策の網

〜 求められる金融機関の国際標準化 〜

 2016年10月に改正される「犯罪収益移転防止法(犯収法)」。この背景には、国際的に取り組みが進んでいる金融犯罪の囲い込み強化に協調し、世界情勢の安定化に貢献しようとの意図がある。
他方、国内市場が縮小するなか、企業にとっても金融の国際標準に適応することは喫緊の課題といえる。新たな市場への参入やM&Aなどの海外展開は持続的な成長が見込めるが、汚職や贈収賄などのリスクも内包しているからだ。こうしたことから、今後はフィナンシャル・クライム・リスクマネジメント(FCRM)の強化が企業や金融機関には求められる。
では、具体的な問題と対策はどのようなものが考えられるか。先日開催されたトムソン・ロイター主催「広がるマネロン・テロ資金への網 PEPsと実質的支配者特定へのハードル」の内容をもとに考察していく。

セミナーの様子

国際的視点から改正「犯罪収益移転防止法」を再考する

 今回の犯収法改正に対してまず押さえておきたいのは、なぜこれを行う必要があるか、ということだ。これは、「FATF(Financial Action Task Force on Money Laundering:ファトフ)」からの強い勧告に端を発している。周知の通り、各国はテロ撲滅のため、ISISをはじめとしたテロ組織に対して直接的な攻撃や経済制裁を続けている。だが、残念なことにテロが終息する気配は乏しい。完全にこのリスクをなくすためには、その活動源である“カネや物品”といった兵糧を絶つことこそ不可欠なのだ。
このような金融犯罪に対する取り組みへの協力度合いは、国際的な信頼性を左右するものとなっている。日本の場合、「株主情報や役員名簿といった情報にアクセスすることが難しい。海外金融機関から見れば、実質的支配者がPEPsであるかどうか確認できない状態だ。この点を指して、海外からは金融取引の不透明さを強く疑問視する声が多く聞かれる」と、一般社団法人共同通信社編集局の澤特別報道室次長は指摘する。事実、日本はFATFをはじめとした海外から再三の勧告を受けている。これに対し、政府がようやく対応を取った結果が改正犯収法というわけだ。

対応を怠れば邦銀全体で海外取引ができなくなるリスクも

 実質的支配者の確認を行えば、たとえば高リスク相手国や外国PEPs(重要な公的地位を有する人物)が取引先である疑いが見つかった際に、その取引を精査し、不正な取引を未然に防ぐことができる。つまり、テロ組織などの不穏分子に資金が流れることを阻止することができるのだ。
 このような金融犯罪に対する取り組みへの協力度合いは、国際的な信頼性を左右するものとなっている。日本の場合、「株主情報や役員名簿といった情報にアクセスすることが難しい。海外金融機関から見れば、実質的支配者がPEPsであるかどうか確認できない状態だ。この点を指して、海外からは金融取引の不透明さを強く疑問視する声が多く聞かれる」と、一般社団法人共同通信社編集局の澤特別報道室次長は指摘する。事実、日本はFATFをはじめとした海外から再三の勧告を受けている。これに対し、政府がようやく対応を取った結果が改正犯収法というわけだ。
グローバル化が進む昨今、もしもの場合に被る影響は甚大であると容易に想像できるだろう。

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