コンプライアンスInSight2016年夏号

日本企業が抱える「真のリスク」とは

〜 不祥事が続く背景を知るうえでヒント 〜

コンプライアンス担当者の90%以上が
対策強化の必要性を認識

 データのねつ造、不正会計、情報漏洩等々、企業の不祥事が頻発している。コンプライアンスが日本の企業社会の中で言われるようになって久しいが、不祥事はなくなるどころか、むしろ増えている印象さえ受ける。
 なぜ不祥事が続くのか。その背景を知るうえでヒントになりそうな調査結果がある。トムソン・ロイターが日経BPコンサルティングと共同で実施した「法務・コンンプライアンス担当者意識調査報告書」だ。
 2016年3月にインターネットを用いて行われたこの調査は、企業など法務・コンプライアンス、経営系部門などの、コンプライアンスやリスク管理に関与する課長職以上の300人から回答を集めた。回答者が所属する企業の従業員数は、5000人以上が40%、1000人から4999人が約30%、999人以下が30%と、大企業から中小企業まで幅広くカバーしている。

 この調査を詳しく読み解いていこう。

 まず興味深いのは、「現状の取り組みへの評価」(表1参照)だ。「勤務先のコンプライアンスやリスク対策の現状の取り組みが十分にできているか」との問いに対し、「とてもそう思う22.3%」「ややそう思う52.7%」を合わせると、実に75%、4人に3人が肯定的に答えている。

表1 現状への取り組みへの評価(できているか否か)

 ところが、「対策強化の意向」(表2参照)を聞いた設問では、「より積極的に取り組むべき」という担当者の意向が90%以上に達している。
一見、矛盾するようにも思えるこの2つの回答の傾向は、どのようにとらえればいいのだろうか。自社の対策は評価できるが、企業の不祥事が継続している状況を見ると、もっと説教的に取り組む必要がると答えざる得ないということだろう。

表2 対策強化の意向

 この点に関連して、「海外のコンプライアンスや「リスク対策についての担当部署」(表3) を聞いたところ、「コンプライアンス専門/専任」や「法務」という回答が多くはなっているものの、「海外事業の本社管理担当」という回答が20%に達していることがやや気になる。海外のコンプライアンスに関しては、20%以上の企業がコンプライアンスなどの専門/専任ではない本社の海外管理部門や海外拠点に任せているという現実が浮かび上がってくるからだ。

表3 コンプライアンスやリスク対策の企画・推進・管理部署

 海外、特に欧米では日本企業や日本人社員が摘発されるケースも出ている。そうした状況下で20%以上もの企業が海外のコンプライアンスやリスク対策に関しては決して十分とは言えない体制であることは、見過ごせない点であろう。
 では、コンプライアンスやリスク対策に関連してどのようなテーマに関心が高いのだろうか。関心度の高いほうからいくつかのテーマをピックアップして、その背景を探ってみよう。

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