世界金利上昇で投信の資金フローに変化
Apr. 2017

クレジットリスクは株式運用戦略にどう影響するのか?

<特集記事>
ファクター投資:クレジットリスクは株式運用戦略にどう影響するのか?

 ここ数年、運用業界における世界的なトレンドとして、スマートベータをはじめ、より多くのデータを取り入れた運用戦略が登場し、注目を集めています。科学的なアプローチに基づいて、いかに付加価値を増大するか。そうした課題の解決につながる手段として注目されているのが「定量的な分析」であり、クオンツ・ソリューションです。新たな運用戦略の構築に向けてファクター開発の競争が激化するなか、トムソン・ロイターでは、株式運用戦略におけるクレジットファクターの活用法について考察、その効果を検証しました。

伝統的クレジット・モデルにテキストマイニングを組み合わせ

 クレジットリスクモデル(信用リスクモデル)は、これまで長期間にわたり、銘柄選択の基準の1つとして、多くの機関投資家に使用されてきました。

 トムソン・ロイターでは、複数のモデルを含む多面的なアプローチを用いて、クレジットリスクとデフォルト(債務不履行)確率を定量的に評価し、予測しています。代表的なクレジットモデルの1つに、「スターマインSmartRatiosクレジットリスク・モデル」があります。これはクレジットリスクを予測する様々な会計レシオを分析することによって、企業の信用状態や財務健全性の見通しを提供する、直感的かつ堅固なデフォルト予測モデルです。予想の正確さや情報提供のスピードなどからアナリストを評価し、レーティングの高いアナリストの業績予想にウエイトを置いた独自のコンセンサス「SmartEstimates」を取り入れた点がユニークとなっています。

 伝統的なクレジットモデルに、このSmartRatiosとテキストマイニングの情報を組み合わせることで、デフォルト確率についてより全体的かつ明確な見通しを提示することを目指したのが、「スターマイン・コンバインド・クレジット・リスク・モデル(CCR)」です。複数の独立したデータソースから情報を取り込むことにより、単一のデータソースのみを使用するよりも正確なクレジットリスクの評価を行います。

 株式運用戦略への「スターマインCCR」導入による付加価値を検証するために、日本株式の時価総額上位1000銘柄に適用した「スターマイン・バリュー‐モメンタム・モデル(VAL-MO)」へのオーバーレイについて考察します。なお、「スターマインVAL-MO」は、バリューとモメンタムの2つのシグナルを有益かつ補完的に活用するモデルです。企業の本質的価値、相対価値、アナリストの業績予想修正、株価モメンタムの4つの領域におけるトムソン・ロイターのイノベーションを組み合わせています。バリューとモメンタムを組み合わせることで、反発の可能性のある割安株と、下落に転じる可能性のある割高株の識別を可能にするだけでなく、“バリュー・トラップ”と、真に割安に放置されアナリストや投資家の支持を得つつある銘柄を区別します。

株式運用におけるクレジットリスクの有効性を検証

グラフ中の「スターマインVAL-MO」は同モデルで評価された上位10%と下位10%のパフォーマンスの差(十分位数スプレッド)を表したものです。「スターマインVAL-MO CCR」は、「スターマインCCR」が示したリスクが最も高い銘柄上位20%を除外したユニバースに同一戦略を適用したポートフォリオの価値をそれぞれ表しています。2006年1月から2016年12月までの10年間において、「CCR」による“フィルター”を組み合わせることでパフォーマンスが向上し、リスク調整後リターンが改善するという、大きな付加価値が創出されたことがわかります。

図1) クレジットリスクファクターを加味したことによるパフォーマンス差 図1) クレジットリスクファクターを加味したことによるパフォーマンス差

クレジットリスクと株式運用をテーマとしたセミナーを5月22日(月)に開催いたします。
資産運用業界の皆様のご参加をお待ちしております。

◼︎セミナー詳細
「トムソン・ロイター Alpha塾 :クレジットリスクモデルの進化と株式運用における効果の検証」
詳細・お申込はこちら▶︎ tr-j.jp/creditrisk


<サブトピック>
日本のM&A市場は海外投資案件が高水準

 2017年第1四半期の日本関連M&A公表案件は、ランクバリューで3.1兆円と前年同期比で25.9%の減少となった。件数でも745件の16.3%減と低迷している。金額および件数ともに14年以来の低水準に落ち込んだ。マーケット別で見ると、IN-OUT案件は1.7兆円の14.5%増と好調で、全ディールの55%を占めている。リーマンショック後では、15年、14年に次ぐ3番目の高水準だった。一方、国内案件は6904億円の69.7%減で98年以来の低水準に落ち込んだ。(図2)

図2) 日本M&A案件情報概要 図2) 日本M&A案件情報概要

第1四半期で1000億円を越える大型ディールは6件。最大案件は、武田薬品工業による米薬品会社アリアド・ファーマシューティカルズのIN-OUT買収案件でランクバリューは6148億円だった。買収側のアドバイザーはエバー・コアパートナーズ、被買収側はJPモルガン、ゴールドマン・サックス、ラザードが担当した。次いで、ソフトバンクグループによる米投資会社フォートレス・インベスト・グループの買収案件で3575億円、米ケーブルテレビ最大手コムキャストの子会社NBCユニバーサルによるユニバーサル・スタジオ・ジャパンの運営会社ユー・エス・ジェイの完全子会社化案件で2548億円だった。

M&Aリーグテーブル(公表済み案件)では、ゴールドマン・サックスが6ディールで1兆2386円と第1四半期ではトップとなり市場シェアは40%。2位はJPモルガンの4ディールで9959億円だった。国内証券では、4位に三菱UFJモルガン・スタンレーが6ディール6012億円で入り、5位がみずほFGで34案件4209億円だった。