世界金利上昇で投信の資金フローに変化
Mar. 2017

世界金利上昇で投信の資金フローに変化

<特集記事>
グローバルREITファンドから資金流出

 アクティブ投信で日本最大の純資産残高を誇るフィデリティの『USリートファンド』が16年11月に分配金を引き下げた。同ファンドは国内で最も人気があるグローバルREITのトップブランドだけに業界に激震が走った。他の毎月分配型の大型投信も今年に入り相次いで減配に動き始めており、資金流出が続いている。その資金がどこにシフトしているのかを追ってみよう。

■ グローバルREITファンドの分配金の減配相次ぐ
フィデリティ投信の『USリートファンド(為替ヘッジなし)』が16年11月15日に、月次の分配金を100円から70円に減配した。減配は12年12月以来4年ぶりだった。16年前半に円高で海外資産が目減りしたことに加え、トランプ大統領の就任後に世界中の金利が急騰したことでグローバルREIT価格が急落、配当原資が減少しはじめたことが背景。

投信データのトムソン・ロイター リッパーによると、17年2月末時点での『USリートファンド』は、1兆4879億円の純資産残高で、TOPIXや日経225連動のパッシブファンドを除いたアクティブファンドで日本最大の投資信託だ。主に好配当のグローバルREITを組み込み、毎月の分配金利回りが高い毎月分配型のファンドである。パッシブファンドで純資産残高2位のアセットマネジメントOneの『新光・US-REITオープン(愛称ゼウス)』が1兆4256億円、3位の日興アセットマネジメントの『ラサール・グローバルREIT』が1兆1311億円で、毎月分配型のグローバルREITの3本のファンドが残高1兆円を超えている。

グローバルREITは分配金利回りが高く、毎月好配当が受け取れるため、個人投資家に人気がある。16年は日銀がマイナス金利を導入したこともあり、年前半には高い利回りを求めて資金流入が加速していた。トムソン・ロイター リッパーでは、『USリートファンド』は「株式型 業種別 不動産業」に分類され、残高は16年7月が過去のピークで12兆6110億円に達していた。(図1)

図1) 図1)

『USリートファンド』減配の衝撃がまだ消えさらないうちに、他の旗艦ファンドの減配が続き始めた。『ゼウス』は1月の配当を75円から50円に、『ラサール・グローバルREIT』も1月に60円から40円に下げた。「株式型 業種別 不動産業」分類の投信を月次のフローでみると、減配した11月以降の資金流出が顕著だ。11月のネットの流出が39億円、12月が728億円、1月が787億円、2月が436億円の流出となり、4ヶ月で1990億円の流出となった(図2)。

図2) 図2)

■ 国内REIT、ハイイールド債券など他の毎月分配型にシフト
グローバルREITの解約が増える一方、「国内REIT」、「高配当株」、「債券型 ハイイールド」、「新興国通貨・債券」といったリッパー分類の他のファンドに資金が流入し始めた。

たとえば、「債券型 ハイイールド」分類の投信の月次フローをみると12月は458億円の流出だったが、1月は220億円、2月は364億円の流入となっている。(図3)2月の「債券型 ハイイールド」分類で1番の資金流入があったファンドはフィデリティ投信の「USハイイールドファンド」で241億円のインフロー、2位はアセットマネジメントOneの「みずほUSハイイールドファンド」で185億円だった。

現在、マネーファンド(MRF)に歴史的に高水準の資金が待機資金としてプールされている。この資金は好配当を求めて、今のところ他のリッパー分類の毎月分配型のファンドに戻りつつある。 今後もこの傾向が続くのか、株式型のファンドにシフトされるのかが注目されるところだ。

図3) 図3)


<サブトピック>
ロイター調査からみる2017年の日本経済、ドル円見通し

 IMFは、1月16日に発表した「世界経済見通し」の改訂で、2017年の世界の実質成長率の見通しを3.4%、18年を3.6%とし、昨年10月時点での見通しを据え置いた。世界見通しは据え置きながらも、トランプ大統領のリフレ政策により、米国経済が加速するとの見方から、米経済の17年の見通しを10月改定時での2.2%から2.3%に0.1ポイント、18年を2.1%から2.5%に0.4ポイント上方修正した。ただ、米国の変更は暫定的なもので、次回の4月見直しで精査するとしている。

日本に関しては、円安効果で企業業績が回復していることから17年の見通しを10月改定時の0.6%から0.8%増に0.2ポイント上方修正。18年の見通しは0.5%を据え置いた。

トムソン・ロイターが行っている3月のロイター調査では、17年の米成長率は2.3%、18年は2.4%となっておりほぼIMFの予想に添った線だが、日本に関しては、17年は1.2%増、18年は1.0%増となっており、ともにIMF予想を0.2ポイントほど上回る見通しとなっている。

日本の足元のGDP推移は4半期連続でプラス推移となっており(図4)、日本のGDP成長の内訳をみると在庫調整がマイナス寄与している一方、輸出入と設備投資が成長を支えている(図5)。

図4) 図4)

図5) 図5)

ロイター調査がIMF予想より上振れているのは為替の前提が円安を見込んでいるからのようだ。 円安が進めば、成長のドライバーである輸出が上乗せされる可能性が高いからだろう。

ロイター調査では、為替の見通しに対してエコノミストの単純平均をコンセンサスとして用いずに、予想が正確なストラテジストの予想値のウェイトを高くした加重平均コンセンサスであるスマートエスティメイトを用いている。

ドル円のスマートエスティメイトは、3ヶ月後の17年5月末で115円81銭、半年後の8月末は116円ちょうど、1年後の2月末では116円63銭となっている。(図6)緩やかな円安を前提に、ロイター調査では日本経済はIMF見通しを上回る成長が見込まれている。

図6) 図6)