StarMine特集
Oct. 2016

StarMine特集

<特集記事>
StarMineでの銘柄ピックの有効性を検証

 2016年9月期の決算発表が本格化してきた。決算シーズンには、相場全体よりも個別銘柄がフォーカスされ、個別銘柄の決算プレイでの株価の動きが大きくなる傾向がある。ポートフォリオにアルファを生み出すためには、アナリストの精度の高い業績予想やレーディングなど個別銘柄のデータが不可欠だろう。

トムソン・ロイター社が、機関投資家向けに提供している銘柄選択、投資支援用ののツール「StarMine」では、アナリストの個別銘柄のレーティング、業績予想などを時系列でフォローしている。さらに個別銘柄に対するアナリストの予想正確度、レーティング識別能力を独自の客観的分析を使い、1つ星から5つ星の5段階でパフォーマンス評価している。

たとえば、アナリストの超過収益を、そのアナリストのレーティングが、業種平均のベンチマークに対してどれくらいアウトパフォームしているかで客観的に測定、評価している。分析結果では、高い評価のアナリストのレーティングや業績予想は株価に先行することが確認されている。それでは、StarMineでの銘柄選択の有効性を具体的に検証してみよう。

高ランキングのアナリストの格付は市場をアウトパフォーム

 あるアナリストがカバーしている東証の電機銘柄のレーティングの推移(青線)とその銘柄をカバーしているアナリストのレーティングの平均値(茶線)、ならびにその銘柄の株価(灰線)と業種平均リターン(点線)をプロットした。 (図1) このアナリストは、StarMineで高評価なのだが、ここではアナリスト名と銘柄名は伏せておく。

アナリストは、当該電機銘柄のレーティングを、期初にはUnderweight(売り)としていたが、5月26日にOverweight(買い)に格上げした。(①)

Underweight期間中の当該銘柄の株価のリターンは、業種平均リターンとほぼ同等だったが、アナリストの格上げ後は業種平均を36%もアウトパフォームしている。 この間、アナリストレーティングのコンセンサス(全アナリストの投資判断の中央値)は若干上向いたが、ほぼ中立レベルだった。このアナリストのレーティング識別能力が高かったことを示している。

図1) アナリストのレーティングによるパフォーマンス検証 東証大手電機銘柄 図表1)

高ランキングのアナリストの業績予想は市場に先行

 あるアナリストがカバーしている東証の半導体製造装置銘柄の営業利益の業績予想(青線)とアナリストのコンセンサス予想(全アナリストの業績予想の中央値、茶太線)と株価の推移(灰線)を表した(図2)。

アナリストは、2015年5月13日の15年3月期実績値発表直後に2016年3月期の業績予想を下方修正した。(図表圏外)その後8月上旬(①)、11月上旬(②)と計3度の下方修正後、16年2月上旬に小幅ながら上方修正(③)、4月下旬には大幅上方修正(④)を行っている。

一方、コンセンサス予想は期初よりアナリストの予想を大きく下回り、常にアナリスト予想より低い予想値で推移した。該当アナリストの4月下旬の上方修正後は、コンセンサス予想は再び大きく引き離され、その後キャッチアップすることはなかった。 該当アナリストは、常にいち早く業績予想をアップデートするだけでなく、アナリストの平均値に先行した業績予想をだしている。4月の上方修正(④)でこのアナリストの予想がストリートで一番高い値となったが、結果的に会社の実績をきっちり予想したのはそのアナリストだった。(⑤)

図2) アナリストの業績予想の推移 東証大手半導体製造装置銘柄 図表2)

スマートエスティメイトによる個別銘柄ピックアップ

 StarMineでは、過去の業績予想が正確なアナリストの直近の予想値により大きなウェイトを置いて加重平均したスマートエスティメイトという独自の業績予想をだしている。上で紹介した半導体製造装置銘柄のアナリストの予想精度は高かったため、2017年3月期のスマートエスティメイトでのウェイトは14.6%とアナリスト全体の中で最も高くなっている。

図3)半導体製造装置銘柄のスマートエスティメイトと株価の推移 図表3)

該当銘柄について、スマートエスティメイト(茶太線)と株価(茶斜線)の動きをプロットしてみた(図3)。スマートエスティメイトが、直近90日間でコンセンサス予想より高く推移していることが確認できるだろう。高ランキングのアナリストのウェイトが高い分、コンセンサス予想より正確な予想値となりうる。これは「過去の業績予想が正確なアナリストの直近の業績予想は、またも正確である可能性が高い」というスターマインのデータ分析から導かれるもので、業績の変化を先取りするには使いやすいデータだ。

「予想サプライズ」でトレーディング機会

 スマートエスティメイトによる業績予想とアナリスト予想のコンセンサス予想との差は、「予想サプライズ(%)」として表示される。そのパーセントが大きいほど上方修正の可能性が高く、またマイナスパーセントが大きければ下方修正の可能性が高い。その差がプラスマイナス2%以上であれば、会社が同方向の「サプライズ業績予想」を発表する可能性は約70%となる。たとえば上記銘柄の場合、予想サプライズはプラスの4.8%なので、プラスの予想サプライズ、すなわち大幅上方修正が発表される可能性は高いと考えられる。

以上、駆け足で StarMineの有効性を検証してきた。スマートエスティメイトを使って業績修正モデルなどのシステム運用も可能だ。また、 StarMineによるアナリストのランキングは完全な定量評価であるため、米国の機関投資家のなかにはセルサイドアナリストの評価ツールとして使っているところもあるようだ。


<サブトピック>
2016年第3四半期 M&A市場リーグテーブル

 2016年第3四半期累計(1月ー9月)の日本関連M&A公表案件は2422件、トータル金額は13.8兆円になった。金額では昨年同期を下回るものの、件数ベースでは過去最高を記録した。(図4)

四半期毎で見ると、7-9月は6.2兆円と4-6月の3兆円から2倍以上に膨らみ過去歴代2位となっている。

図表4) 日本M&A案件情報概要 図表4)日本M&A案件情報概要

過去3ヶ月で、1000億円超の大型案件は8件、総額5.3兆円にとなり、1-9月の大型案件累計9.5兆円の過半数を占めた。ソフトバンクによる英アーム・ホールディングス社買収案件3兆2424億円や、コマツによる米ジョイ・グローバル社買収案件3845億円などの寄与が大きい。

国内案件は、1648件、金額は5.2兆円の25.5%増となり、件数、金額ともに2011年の東北大震災前のレベルを回復した。国内案件も、JXホールディングスと東燃ゼネラル石油6463億円、コカコーラウエストとコカコーライーストの統合案件3116億円がリーグテーブルの上位トップ10にランクインしている。

アドバイザーのリーグテーブルのトップ3は、国内案件では、野村證券、三菱UFJモルガン・スタンレー、三井住友FG。IN-OUT案件では、ゴールドマン・サックス、ラザード、みずほFG。OUTーIN案件では、三菱UFJモルガン・スタンレー、みずほFG、JPモルガンになっている。3兆2424億円と最大の案件であるソフトバンクによる英アーム・ホールディングスの買収では、アーム側のアドバイザーをゴールドマン、ラザード、UBSがつとめ、ソフトバンク側をみずほ証券、レイングループ、ロビー・ウォーショーがつとめた。