改正DC法で拡大が期待されるDC市場
Aug. 2016

改正DC法で拡大が期待されるDC市場

<特集記事>
DC専用ファンドを徹底分析

確定拠出年金改正法成立

 日本の確定拠出年金(DC)は2001年の導入から15年が経過した。2016年6月末時点の企業型年金の加入者数は578.5万人、実施事業者数は23,225社まで拡大している。過去10年で約3倍に増えた。ただ、今までの拡大は企業型DCが中心で、個人型DCの加入者数は26.5万人、登録事業所は162,513事業所とまだまだ加入対象範囲が少ないため、本格的に普及していないのが現実だ。運用残高は、2015年3月末時点で、企業型年金は7.7兆円、個人型年金は0.9兆円、トータル8.6兆円程度のようだ(野村證券調べ)。

政政府はさらなる拡大を後押しするために、今年5月24日に、確定拠出年金改正法(改正DC法)を成立させた。主な改正内容は、中小企業向けの簡易型DC制度の創設、個人型DCの加入対象者の範囲拡大、DCの運用の改善などだ。改正に伴い2017年1月からは、主婦、公務員、すでに企業年金に加入している会社員なども個人型DCに加入出来るようになり、新たに約2600万人が個人型DCの対象になる見込みだ。

図表1)日本のDCファンドの運用残高の推移 図表1)日本のDCファンドの運用残高の推移

トムソン・ロイターの提供する「リッパー」の投信データには約400本のDC専用ファンドがある。DC専用ファンドをリッパーグローバル分類でアセットクラス別に抽出し、トータルリターン、シャープレシオのトレンドや総経費率を分析してみた。

DCポートの主力はグローバル株、円債、円ミックスアセット

 DC専用ファンドの資産残高では、「株式型  グローバル 除日本」が最も多く15%を占めている。続いて「債券型 日本円」が14%、「ミックスアセット 日本円 バランス型」が12%、「ミックスアセット 日本円 積極型」が9%と続く。上位4分類でDC専用ファンドの50%の残高を占めている。

好リターンが続く日本株

 直近10年間のDC専用ファンドのトータルリターンをみると、2012年・13年・14年はおおむねプラスのリターンを得られていたが、15年は全般的にトータルリターンが下がり、明暗が分かれた。(図表2)

「株式型 グローバル(日本を除く)」のリターンが▲0.9%、「株式型 エマージングマーケット グローバル」が▲16.0%などマイナスに沈むなかで、「株式型 日本株」は、15年でも11.5%のトータルリターンと好調を持続した。

リッパーグローバル分類の小分類では、15年のトータルリターンのトップが「株式型 日本株 中小型株」だった。次いで「株式型 日本株」、「株式型 中国株」が好調だった。一方、「株式型 エマージングマーケット グローバル」、「債券型 エマージング グローバル LC」などは2桁のマイナスだった。(図表3)

図表2)DC専用ファンド:トータルリターンの推移(トータルリターン、%) 図表2)DC専用ファンド:トータルリターンの推移(トータルリターン、%)

図表3)2015年のトータルリターンランキング(%) 図表3)201年のトータルリターンランキング(%)

シャープレシオではミックスアセット、円債、円株が優位

 2015年のシャープレシオで上位を占めているのは、「株式型 日本株 中小型株」、「株式型 日本株」、「債券型 日本円」だった。一方、ワーストは「債券型 グローバル」と「債券型 エマージング グローバル LC」だった。(図表3)

過去3年では、「ミックスアセット 日本円 バランス型」「債券型 日本円」「株式型 日本株」が相対的に高い。過去10年では、「債券型 日本円」の安定が際立っている。(図表4)

図表4)DC専用ファンド:シャープレシオの推移 図表4)DC専用ファンド:シャープレシオの推移

総経費率はミックスアセットとグローバル株が高い

 総経費率は大きく変動するものではないが、全般的には緩やかに低下傾向になっている。「ミックスアセット型」と「株式型 グローバル」が総じて総経費率が高い。例えば2015年で「ミックスアセット型 日本円 フレキシブル」は1.5%、「株式型 グローバル」も1.5%の経費率となっている。一方、「債券型 日本円」0.4%、「株式型 日本株」0.9%など、日本物の経費率が低くなっている。(図表3)


<サブトピック>
外債のボラティリティと為替の関係

ドル円90〜100円のレンジで外債のボラが上昇

 日銀のマイナス金利導入後、外債投資の注目度が上がっている。ただ、外債投資で気になるのはボラティリティだろう。2016年は円高とともに外債のヒストリカルボラティリティが上昇している。

過去10年間のドル円と外債のボラティリティの関係は、2014年を除くと、基本的には90~100円レンジでボラティリティが上昇する傾向にある。(図表5)

図表5)ドル円レートとヒストリカル・ボラティリティの推移 図表5)ドル円レートとヒストリカル・ボラティリティの推移

直近3年では、2014年は年後半に大きく円安に動く局面でボラティリティが上昇、レンジもみあいの2015年を経て、2016年は円高に動く局面でボラティリティが上昇するようになった。

豪ドル、英ポンドのボラティリティが上昇

 ボラティリティが高いのは豪ドル円だ。リーマンショック後は豪ドル円のボラティリティの高さが定着している。BREXIT後に英ボンドもボラティリティが急上昇した。

一方で、ドル円は相対的にはボラティリティが低い。ただ、直近ではドル円のボラティリティも上がってきている。

ここ5年は、円安局面でボラティリティが上昇していたが、2016年に入ってからは円高局面でボラティリティが上昇しており、2008年の状況に似ている。

これまでのドル円の水準とボラティリティの関係でみると、2014年を除き、100円より円高の時は100円に近付く(円安になる)ほどボラティリティが上昇。一方で100円より円安の時は円高になるほどボラティリティが上昇している。